※この記事は、私がシンガポールの建設現場で3か月間勤務した経験をもとに書いています。
長期駐在者とまったく同じ責任を負っていたわけではありませんが、同じ現場で本勤務の日本人職員の働き方を間近で見ていたため、就活生が「ゼネコンで海外で働くってどういう感じなんだろう?」と考えるうえで、参考になる部分は多いと思います。
ものりすです。
以前、ゼネコンで働くことのリアルについて、就活生向けの記事を書きました。

今回はその続きとして、ゼネコンの海外勤務について書いてみます。
私は2025年末から2026年明けにかけて、シンガポールの建設現場で3か月間勤務しました。
もともと海外勤務に興味があり、会社に「試しに海外勤務できる制度」があったため、その募集に手を上げて行くことになりました。
当時は入社4年目の後半。
土木系の技術職として、シンガポールの大規模なインフラ工事に関わりました。
この記事では、就活生が気になりそうな、
- 海外現場の仕事内容
- 英語はどれくらい必要なのか
- 日本の現場と何が違うのか
- 生活面はどうなのか
- 若手でも責任ある仕事を任されるのか
- 海外勤務に向いている人はどんな人か
といった点について、できるだけ具体的に書いていきます。
- 私が経験したシンガポール勤務の概要
- 一番伝えたい結論
- 海外現場の人員構成
- 海外勤務の毎日は華やかなのか
- 3か月勤務は研修だったのか、戦力だったのか
- 日本の現場と海外現場で、仕事内容はどう違うのか
- 海外では「施工管理者を管理する」仕事になる
- 若手でも責任ある仕事を任されるのか
- 日本のやり方がそのまま通用しない場面
- 英語はどれくらい必要か
- 英語で一番困ったこと
- 英語力よりも大事だと感じた能力
- TOEICはどれくらい必要か
- 海外勤務中の生活
- 休日はちゃんとあるのか
- 休日の過ごし方
- シンガポール生活で困ったこと
- 生活費は高いのか
- 体調管理で気をつけたこと
- 孤独を感じるか
- 3か月は長かったか、短かったか
- 海外現場の残業時間
- 休日は取りやすいのか
- 気候や文化の違いは仕事に影響するか
- 海外現場のほうが自由だと感じた部分
- 日本の現場のほうが良いと感じた部分
- 海外現場で「ゼネコンの仕事」を実感した瞬間
- 原価管理で海外現場っぽいと感じた具体例
- 海外勤務はキャリアにどう影響するか
- 若手のうちに海外を経験するメリット
- ゼネコンに入れば誰でも海外勤務のチャンスはあるのか
- 海外勤務を希望していなくても、海外案件は意識すべきか
- 面接で「海外で働きたい」と言うのは有利か
- 海外勤務に興味がある就活生が聞くべきこと
- 海外勤務に必要なのは、語学力・技術力・体力・メンタルのどれか
- 海外勤務に向いている人・向いていない人
- 学生時代にやっておくとよいこと
- 海外現場を経験して感じたゼネコンの面白さ
- 海外勤務を経験して、自分に足りないと感じた力
- 初日に驚いたこと
- まとめ|海外勤務は「人を管理し現場を動かす仕事」
- 関連記事
私が経験したシンガポール勤務の概要
まず、私が関わった工事について簡単に説明します。
ざっくり言うと、巨大な埋立地の上に、道路・配管・舗装・基礎などを整備していく工事です。
建物を建てるというよりかは、その前提となるインフラをつくる仕事でした。
規模感としては、数百億円規模。
おおよそ1km × 0.5kmほどの広い敷地で、杭打ちから配管、舗装など、施設インフラ全体を整備していくような現場です。
私自身は3か月の研修という立場だったため、長期駐在者とまったく同じ責任を負っていたわけではありません。
ただし、同じ現場で本勤務の日本人職員の働き方を間近で見ていたため、就活生が海外勤務をイメージするうえでは、かなり参考になる部分があると思います。
海外勤務に行く前に不安だったことは、正直あまりありませんでした。
が、私はお腹が弱いため、食中毒などは少し心配でした。
案の定、1回やりましたが。笑
一番伝えたい結論
最初に、この記事で一番伝えたいことを書いておきます。
ゼネコンの海外勤務は、英語で現場作業をする仕事というよりかは、外国人エンジニアを通して施工・原価・工程を管理する仕事でした。
もちろん英語は使います。
しかし、「自分が英語で作業員に細かく指示を出して、現場を直接動かす」というよりは、各工種を担当する外国人エンジニアとやり取りしながら、その人たちを通して現場を管理していくイメージ。
日本の若手施工管理職がやるような、
- 測量機械を直接いじる
- 出来形を直接測る
- 安全掲示物を作成してラミネートする
- 写真を撮って整理する
などの業務を、自分で手を動かしてやる場面は少なくなります。
その代わりに、外国人エンジニアに指示し、確認し、管理する立場になります。
ここが、日本の現場との大きな違いでした。
海外現場の人員構成
私がいた現場は、作業員が毎日500〜600人ほど稼働する巨大な現場でした。
それに応じて、管理組織もかなり大きかったです。
元請側の人員だけでも、
- 安全管理部門に10人
- 施工管理部門に10人
- 設計部門に10人
といった形で、合計100人ほどの人員がいました。
その中で日本人は5人程度。
日本人職員は、各部門をまとめて統括するマネジメントチームとして動いていました。
若手も例外ではありません。
外国人職員の国籍としては、マレーシア、ミャンマー、インド、インドネシアなど、東南アジア・南アジア出身の方が多かったです。
作業員は、インド、バングラデシュ出身の方が多かった印象。
日本の現場だと、元請の若手が下請け会社の職長や作業員と直接やり取りする場面も多いと思います。
しかし海外現場では、組織が大きく、国籍も言語も多様です。
そのため、日本人職員が全員に直接指示を出すというより、外国人エンジニアを通して現場を動かす構造になっていました。
海外勤務の毎日は華やかなのか
ゼネコンで海外勤務と聞くと、少し華やかなイメージがあるかもしれません。CMがそうですもんね。
海外で働く。
英語を使う。
大規模プロジェクトに関わる。
休日は異国の街で過ごす。
たしかに、そういう面もあります。
ただ、実際の毎日はかなり普通に現場です。
私の場合は、だいたい次のような1日でした。
- 7:00 寮を出発
- 7:30 現場事務所に到着、勤務開始
- 午前 現場確認、担当工種の進捗確認
- 昼 寮で用意された弁当
- 午後 外国人エンジニアとの確認、書類・原価・工程の整理
- 18:30 終業
- 19:00 寮に戻る
私の場合は半分研修のような立場だったため、18時半ごろに終業することが多かったです。
一方で、本勤務の方々は20時ごろまで働いているイメージでした。
ときどき17時に帰る人がいると、
「あれ?〇〇くんどうしたの笑?今日早いじゃん〜」
みたいに、それだけで話が盛り上がっていました。
咎めるわけではないのですが、8時〜17時が勤務時間であり、それ以上は残業である、という感覚はそもそも薄いように感じました。
このあたりは現場によると思いますが、少なくとも私が見た海外現場は、「定時で帰るのが普通」という雰囲気ではありませんでした。
3か月勤務は研修だったのか、戦力だったのか
私の3か月勤務は、どちらかといえば研修に近かったです。
さまざまな工種の施工管理を担当する外国人エンジニアの下について、その工種を勉強させてもらうことがメインでした。
ただ、完全に見学だけというわけでもありません。
現場の進捗を確認したり、外国人エンジニアとやり取りしたり、原価や工程に関する情報を整理したりと、実際の仕事にも関わりました。
それでも、長期駐在している本勤務の方々と比べれば、責任の重さは違います。
あくまで「3か月の研修者として見た海外現場のリアル」として読んでもらえるとよいと思います。
日本の現場と海外現場で、仕事内容はどう違うのか
日本の現場と比べて、仕事内容には大きな違いがありました。
一番大きいのは、若手でも日本の工事現場の所長のような仕事をするということです。
その代表例が、原価管理です。
原価管理とは、簡単に言うと、工事に使われているお金が予算内に収まっているかを確認し、もっとお金がかからないようにするにはどう工事を進めればよいかを考え、実行する業務です。
たとえば、
- 予定よりコンクリートを多く使っていないか
- 作業員の人数が多すぎないか
- 重機の稼働が無駄になっていないか
- 材料のロスが増えていないか
- もっと効率よく施工できる方法はないか
といったことを確認します。
日本の現場でも原価管理はあります。
ただ、日本の現場では、所長や上位者が中心になってお金の管理をしていることが多いと思います。
一方、海外工事は日本に比べて金額が大きく、工種も多く、組織のサイズも大きくなります。
そうなると、日本では所長1人で見ていたようなお金の管理を、海外では若手を含めた複数人で分担することになります。
その結果、若手でも原価管理に深く関わることになります。
これは、日本の若手施工管理職との大きな違いだと感じました。
海外では「施工管理者を管理する」仕事になる
日本では、若手施工管理職が自分で測量機械を触ったり、出来形を測ったり、安全掲示物を作ったりする場面が多いと思います。
しかし、海外現場では違いました。
杭を打つための位置決めのために、日本人職員が測量機械を直接いじることはありません。
出来上がった構造物に、日本人職員が直接定規を当てて測ることもありません。
安全掲示物のデータを作成して、ラミネートして、現場に掲示することもありません。
これらの日本では若手がやるような業務は、担当の外国人エンジニアに指示してやってもらいます。
つまり、海外現場では、施工管理を自分で直接行うというより、施工管理をする人を管理する仕事になります。
測量、写真管理、工程管理、品質管理、安全管理など、日本の現場と同じような仕事はもちろんあります。
ただし、自分が直接やるのではなく、外国人エンジニアにやらせた施工管理業務をチェックする。
人を通して、間接的に施工管理を行う。
そういう立場になります。
若手でも責任ある仕事を任されるのか
若手でも、責任ある仕事は任されます。
理由はシンプルで、海外現場では組織が大きくなり、日本よりも高い役職に近い業務を若手が担うことになるからです。
もちろん、いきなりすべてを任されるわけではありません。
ただ、日本の現場であればもっと上の立場の人が見ているような、
- 原価管理
- 工程管理
- 外国人エンジニアへの指示
- 改善策の検討
- 部門間の調整
といった仕事に、若手でも関わることになります。
これは大変でもありますが、かなり成長できる環境だと思います。
日本のやり方がそのまま通用しない場面
海外現場では、日本のやり方がそのまま通用しないと感じる場面もありました。
特に感じたのは、期限に対する感覚の違いです。
たとえば、
「この業務を〇日後までにやってほしいけど、できる?」
と聞くと、
「オッケー!大丈夫!できるできる。やっとくよ!」
と返事が返ってきます。
しかし、実際にはやっていないことが多々ありました。
日本人同士だと、「やります」と言ったら、基本的には期限までにやる前提で話が進みます。
しかし、海外現場ではそうとは限りません。
期限を守る責任感が薄い、というより、仕事の進め方や優先順位の感覚が日本とは違うのだと思います。
そのため、何度も進捗を確認する必要がありました。
日本人は時間に厳しい方なので、外国人も同じくらい時間に厳しいだろうと考えていると、痛い目を見ます。
同じくらいの厳しさを求めるときは、何度も何度もプッシュする必要がありました。
英語はどれくらい必要か
英語は必要です。
日本人同士のコミュニケーションは日本語ですが、それ以外はすべて英語でした。
現場では、それぞれがお互いにもっとも情報伝達しやすい言語を使っていました。
日本人同士なら日本語。
インド人同士なら現地語。
国籍が違う人同士なら英語。
そんな感じです。
英語がまったくできない状態で行くと、かなり苦労すると思います。
ただし、完璧な英語が必要かというと、そうではありません。
文法や発音が完璧でなくても、自分が何を伝えたいのかが頭の中ではっきりしていれば、辛抱強く時間をかけることで伝えることはできます。
私自身、図を描いて説明することが多かったです。
図示と単語の羅列でも、意外とよく伝わります。
伝わらなければ、別の手段や別の角度で伝える。
これを繰り返せば、いつか必ず伝わります。
英語で一番困ったこと
英語で一番困ったのは、日本語では知っている機械や工法、道具の英語での呼び名を知らなかったことです。
たとえば、ラフテレーンクレーンという種類のクレーンがあります。
日本では「ラフター」とか「ラフタークレーン」と呼ぶことが多いですが、英語では「Mobile Crane」と言います。
また、均しコンクリートは英語では「Lean Concrete」と言います。
こういう専門用語については、ほぼすべてにおいて同じことが言えました。
日本語では知っている。
現場でも見たことがある。
でも英語名がわからない。
これがかなり困りました。
就活生のうちに完璧に専門用語を覚える必要はないと思いますが、海外勤務ではこういう苦労がある、ということは知っておくとよいと思います。
英語力よりも大事だと感じた能力
コミュニケーションで英語力よりも大事だと感じたのは、忍耐力です。
自分が理解できるまで質問する忍耐力。
相手に理解してもらうまで説明する忍耐力。
海外現場では、一度で伝わらないことが普通にあります。
相手の英語が聞き取れないこともあります。
自分の英語が相手に伝わらないこともあります。
相手が「わかった」と言っていても、実は違う理解をしていることもあります。
そのときに、諦めずに確認できるかどうかが大事です。
私は、相手が言った内容を自分なりに英語で言い換えて、
「つまり、あなたはこういうことを言いたいんだね」
と確認するようにしていました。
そうすれば、間違っていたときにその場で直してくれますし、自分の頭にも残ります。
英語力はもちろんあるに越したことはありません。
ただ、海外現場で本当に大事なのは、「伝わるまでコミュニケーションを続ける姿勢」だと思いました。
TOEICはどれくらい必要か
就活生のうちに英語を勉強しておくなら、まずはTOEICで十分だと思います。
英語の基礎が身につくなら、正直なんでもいいです。
あとは実務で英語を使ううちに身についていきます。
技術職であれば、最低でもTOEIC600点くらいはあるとよいと思います。
それ以上は、あるに越したことはありません。
点数が高ければ高いほど、コミュニケーションでの苦労が減るからです。
また、海外に行く人の枠が少ない場合、TOEICスコアはわかりやすい指標になります。
その意味でも、点数は高いに越したことはありません。
ただし、英語ができるだけで海外現場で活躍できるわけではありません。
語学力に加えて、技術力、体力、メンタル、そして人に確認し続ける力が必要です。
海外勤務中の生活
海外勤務中の生活は、思っていたよりも整っていました。
平日の食事は、寮の料理人が用意してくれました。
昼はお弁当、夜は寮で夕食を食べる形です。
食事は日本食でした。
土日は、Uberのようなサービスを利用したり、外食したりしていました。
自炊はしませんでした。
住まいは会社が用意してくれます。
海外勤務というと、生活面でかなり苦労するイメージがあるかもしれませんが、少なくとも私の場合、住まいや食事の面ではかなり会社に支えられていました。
休日はちゃんとあるのか
私は研修という立場だったこともあり、土日は休みでした。
ただし、現場自体は土日も動いています。
そのため、本勤務の方々は、土日それぞれ1人ずつ休日出勤をローテーションしていました。
そして、その振替休日はありませんでした。
ここは、就活生が想像するよりもシビアな部分かもしれません。
海外勤務だからといって、休日がたくさんあるわけではありません。
むしろ現場によっては、日本よりも働く時間は長くなると思います。
休日の過ごし方
休日は、私はコーヒー屋巡りをしていました。
あとは、Kindleで読書をしたり、ノートPCでアニメや映画を見たりしていました。
日本での過ごし方とあまり変わりません。
海外勤務というと、休日のたびに観光するようなイメージがあるかもしれません。
もちろん、そういう過ごし方もできます。
ただ、平日は仕事で疲れますし、休日に外出するだけでも意外とエネルギーを使います。
私の場合、休日の過ごし方はかなり日本にいるときと近かったです。
シンガポール生活で困ったこと
シンガポールで生活していて困ったのは、休日に外出するのが思ったよりストレスだったことです。
英語でのコミュニケーションは、日本語よりエネルギーを使います。
平日は仕事で英語を使い、休日も外に出ると英語を使う。
そのぶん、外出しづらさに影響していました。
ただ、2か月目あたりには英語での対話にも慣れ、そのストレスも減っていきました。
もう一つ意外と大きかったのは、普及しているサービスが日本と違うことです。
たとえば、日本ではAmazonを使う人が多いと思いますが、シンガポールではShopeeというサービスが普及しています。
また、Uber Eatsの代わりにGrabを使うなど、日常で使うアプリも違います。
アプリをインストールして、使い方に慣れるまでの手間が意外と大きかったです。
こういう細かい違いが、海外生活ではじわじわ効いてきます。
生活費は高いのか
シンガポールの生活費は、日本と比べて全体として1.5倍程度の物価感だと思いました。
ただし、海外勤務においては、基本的に国内勤務より手当が大幅に手厚いです。
そのため、お金の面で困ることはあまりないと思います。
むしろ、就活生が会社を比較するときには、海外勤務の手当や福利厚生はかなり具体的に聞いた方がよいです。
たとえば、
- 海外手当はいくらか
- 残業代は固定かどうか
- 地域加算手当はあるか
- どのくらいの頻度で帰国できるか
- 帰国の旅費は出るか
- 住居や食事はどこまで会社負担か
このあたりは、会社によってかなり違う可能性があります。
海外勤務に興味があるなら、説明会やOB訪問で具体的に聞いておくべきです。
体調管理で気をつけたこと
体調管理では、睡眠を十分にとり、免疫力を維持しようと努めていました。
しかし、気持ちが入りすぎたせいで慢性的に睡眠不足になり、しっかり急性胃腸炎になりました。
海外勤務では、環境が変わります。
気候も違います。
食事も違います。
仕事の緊張感もあります。
英語でのコミュニケーションも疲れます。
そのため、自分で思っている以上に体に負荷がかかります。
海外勤務では、仕事を頑張ることも大事ですが、睡眠や食事を含めた体調管理も本当に大事だと思いました。
孤独を感じるか
私は海外勤務中に孤独を感じることはありませんでした。
ただ、孤独を感じやすい人は、感じるかもしれません。
家族や友人と物理的に距離が離れます。
日本語で気軽に話せる相手も限られます。
休日に一人で過ごす時間も増えます。
私はもともと一人で過ごすことが苦ではないタイプなので問題ありませんでしたが、人によってはここがしんどくなる可能性はあると思います。
海外勤務に必要なのは、語学力や技術力だけではありません。
自分のメンタルを維持する方法を持っていることも、かなり大事です。
海外勤務者は、明確に自分の趣味と呼べるものを持っている人が多かったです。
長距離走、バドミントンなど、運動系の趣味を持っている人が多い印象でした。
3か月は長かったか、短かったか
3か月は短かったです。
ようやく英語でのコミュニケーションにも慣れ、現場にも慣れ、海外での工事組織の動きもある程度わかってきた。
「これから戦力になれそう」
そう感じ始めた段階で帰国になりました。
具体的には、来て2か月くらい経過したころです。
英語でのコミュニケーションに慣れ、海外での工事組織の動きをある程度把握し、工事のこともわかってきた。
この3つがそろって、ようやく戦力になれそうだと感じるようになりました。
3か月という期間は、海外現場を知るには十分ですが、本当に仕事ができるようになるには短いです。
海外現場の残業時間
私の場合、残業時間は月45時間くらいでした。
7時半出勤、18時半退勤くらいのイメージです。
ただ、これは研修に近い立場だった私の場合です。
本勤務の方は、月70時間くらい残業していたと思います。
7時半出勤、19時半退勤で月60時間程度。
さらに1か月あたり土日出勤が1〜2日程度あり、8〜16時間。
合計すると、68〜76時間くらいになります。
もちろん、本当に現場によります。
ただ、日本の現場と比べると、単純な残業時間で月あたりプラス20〜30時間くらいある印象でした。
そのぶんのきつさはあります。
一方で、継続して海外で働いている人は、たいていかなり優秀です。
心身に余裕があり、そのような人々に囲まれて働けるため、職場環境としては良いと思いました。
休日は取りやすいのか
休日の取りやすさは、日本より海外のほうが取りやすいように感じました。
同じ日本人職員同士でも、日本より空気を読む文化が薄いように感じました。
もちろん、現場が忙しければ休みづらいです。
ただ、「周りが休んでいないから自分も休みにくい」という日本的な空気は、国内現場よりは薄かったと思います。
このあたりは、海外現場の良いところかもしれません。
気候や文化の違いは仕事に影響するか
気候の面では、シンガポールはかなりやりやすかったです。
熱帯で年中同じような気温なので、温度条件によって施工の工夫を変えなくてよいからです。
たとえばコンクリートであれば、暑中コンクリートのみを考慮しておけば、あとは同じ対策を繰り返すようなイメージでした。
日本のように、夏と冬で施工条件が大きく変わる環境とは違います。
一方で、文化の違いは仕事に大きく影響します。
特に、時間や期限に対する感覚の違いは、かなり意識する必要があります。
日本人の感覚で「言ったからやってくれるだろう」と思っていると、うまくいきません。
何度も確認する。
必要なら何度もプッシュする。
相手に任せっぱなしにしない。
この姿勢が必要でした。
海外現場のほうが自由だと感じた部分
海外現場は、仕事の裁量がかなり大きかったと思います。
日本ではマニュアル化されている部分が、海外では存在しないこともあります。
その場合、自分で考えてルールをつくる必要があります。
これは自由でもありますが、大変でもあります。
日本では「こういうときはこの手順でやる」と決まっていることが、海外では決まっていない。
だからこそ、自分で考えて仕事をしなければいけません。
指示待ちでは厳しい環境だと思います。
日本の現場のほうが良いと感じた部分
日本の現場のほうが良いと感じた部分もあります。
それは、下請け会社がしっかりしていることです。
日本では、下請け会社が工事の細かいやり方をよく理解しており、元請が細かく言わなくても進む場面が多いと思います。
一方、海外では、施工の細かいやり方から教えなければならない場合もあります。
そのため、日本よりも自分自身の技術力が求められます。
「任せておけば大丈夫」という感覚ではなく、そもそも正しい施工方法を説明できるだけの理解が必要になります。
海外現場で「ゼネコンの仕事」を実感した瞬間
正直に言うと、「これがゼネコンの仕事か!」という劇的な気づきがあったわけではありません。
ただ、日本のマニュアル化されたシステムの中で、訳もわからずこなしてきた業務を、別のシステムの中で外から眺める機会を得たことで、自分がやっていた業務の意味が朧げながら見えてきた感覚がありました。
日本の現場では、決められた流れの中で仕事をすることが多いです。
もちろん、それは効率的で、品質を保つために必要な仕組みです。
しかし海外現場では、その仕組みがそのまま存在するわけではありません。
だからこそ、
「この管理は何のためにやっているのか」
「この確認はなぜ必要なのか」
「この数字を見ることで何がわかるのか」
ということを、改めて考える機会になりました。
原価管理で海外現場っぽいと感じた具体例
海外現場っぽいと感じたのは、原価管理の幅が大きいことです。
日本では、基本的に下請け業者が作業を行います。
一方、海外では一部の工事を元請け直轄で行うことがあります。
元請け直轄の場合、作業機械の選定や作業員数の増減を、元請けがかなり直接的にコントロールできます。
そうすると、原価管理の幅が一気に広がります。
作業をこう変えたらもっと効率がよくなる。
この方法ならコストが下がる。
この人数は多すぎる。
この重機の使い方は無駄が多い。
そう思ったことを直接指示して変え、その結果がダイレクトに反映されます。
ここは、日本のように型がないからこそ存在する面白さでした。
具体例を挙げると、予算検証のために実績を調査していたとき、均しコンクリートのロス率がやけに高く、予算をはみ出していることに気づきました。
原因を調査すると、均しコンクリートの幅がうまく管理されていないことが原因でした。
そこで、施工管理エンジニアや職長と協議し、管理手法を定めて実行してもらいました。
結果としてロス率が改善し、コスト縮減を達成できました。
多少脚色していますが、見つけた現場の問題を解決し、その結果がダイレクトに反映される面白さがありました。
海外勤務はキャリアにどう影響するか
海外勤務を経験すると、その後のキャリアにも影響します。
良くも悪くも、「海外に行ける人」と見られる可能性があります。
そのため、明確に意思を示さないと、ずっと海外勤務になる可能性もあります。
海外で働きたい人にとってはチャンスです。
一方で、「一度だけ経験してみたい」という人は、その後どう働きたいのかをきちんと伝える必要があると思います。
海外経験は、施工管理者としての成長にはつながりました。
特に、お金の視点で工事を見る目が養われました。
日本の若手施工管理だと、どうしても目の前の安全管理、出来形管理、写真管理、段取りに意識が向きがちです。
しかし海外現場では、原価や工程を含めて、より大きな視点で工事を見る必要があります。
その経験は大きかったです。
若手のうちに海外を経験するメリット
若手のうちに海外を経験するメリットは、変化への抵抗感が薄いことだと思います。
年齢を重ねるほど、生活環境や仕事のやり方を変えることに抵抗が出てくると思います。
若手のうちは、まだ自分の仕事のスタイルも固まりきっていません。
そのため、海外現場のやり方にも比較的なじみやすいと思います。
もちろん苦労はあります。
ただ、若いうちの方が、その苦労を吸収しやすいのではないかと思いました。
ゼネコンに入れば誰でも海外勤務のチャンスはあるのか
チャンスはあると思います。
少なくとも私の感覚では、海外勤務の枠に対して、行きたい人がそこまで多いわけではありません。
そのため、熱意を示せば行ける可能性は十分にあると思います。
ただし、会社によって海外事業の規模は大きく違います。
海外勤務を希望する場合は、就活時にその会社の海外売上高や、総売上に対する海外売上の割合を見ておくとよいと思います。
日本での売上が高いゼネコンが、必ずしも海外に強いとは限りません。
また、継続して海外売上があるかどうかも重要です。
海外事業はリスクが高く、大きな失敗で撤退するゼネコンもあります。
そのような状況の中で、安定して海外事業を継続しているということは、海外でのノウハウがしっかり蓄積されている証拠だと思います。
海外で活躍する技術者になりたいなら、そういう企業に入ることが大きな一歩になります。
海外勤務を希望していなくても、海外案件は意識すべきか
海外勤務を希望していないなら、無理に意識しなくてもよいと思います。
なにせ建設業界は人手不足です。
日本国内だけでも十分な仕事があります。
「海外に行けないとゼネコンで活躍できない」ということはありません。
ただ、海外勤務に少しでも興味があるなら、会社選びの段階で海外事業について調べておく価値はあります。
入社してから「思ったより海外案件が少なかった」となるより、事前に確認しておいた方がよいです。
面接で「海外で働きたい」と言うのは有利か
有利になると思います。
極端に言えば、嘘でも言った方がよいくらい有利になると思います。
もちろん、本当にまったく行きたくないなら言わない方がよいです。
ただ、海外勤務に少しでも興味があるなら、面接で伝える価値はあります。
海外勤務に前向きな学生は、会社側から見ても貴重だと思います。
特に海外事業を持っているゼネコンであれば、海外に抵抗がない人材は評価されやすいはずです。
海外勤務に興味がある就活生が聞くべきこと
海外勤務に興味がある就活生は、説明会やOB訪問で、手当や福利厚生について具体的に聞いた方がよいです。
海外勤務は、やりがいだけで決めるものではありません。
生活が変わります。
働く時間も変わります。
家族や友人との距離も変わります。
その分、会社がどれだけサポートしてくれるかは重要です。
具体的には、次のようなことを聞くとよいと思います。
- 海外手当はいくらか
- 残業代は固定か、実績支給か
- 地域加算手当はあるか
- 住居は会社負担か
- 食事の補助はあるか
- どのくらいの頻度で帰国できるか
- 帰国の旅費は会社負担か
- 海外勤務後のキャリアはどうなるか
- 若手で海外に行く人はどのくらいいるか
これらを比較して会社を選ぶのも、十分アリだと思います。
海外勤務に必要なのは、語学力・技術力・体力・メンタルのどれか
私が一つ選ぶなら、メンタルだと思います。
もちろん、語学力も必要です。
技術力も必要です。
体力も必要です。
ただ、海外勤務では、環境が大きく変わります。
言葉が違う。
文化が違う。
生活の細かいルールが違う。
仕事の進め方が違う。
日本の常識が通じない。
そういう中で、自分の調子を保てるかどうかが大事です。
自分なりにメンタルを維持する方法は持っておいた方がよいと思います。
趣味でもいいです。
運動でもいいです。
読書でもいいです。
コーヒー屋巡りでもいいです。
仕事以外に、自分を保つための軸がある人の方が、海外勤務には向いていると思います。
海外勤務に向いている人・向いていない人
わかりやすい指標として、海外旅行に行きたくない人は、海外勤務はやめた方がよいと思います。
逆に、海外旅行が好きな人や、知らない場所に行くことに抵抗がない人なら、問題ないと思います。
要は、自分の身の回りの環境が変わることを、少なからず楽しめるかどうかです。
海外勤務では、毎日小さな変化があります。
言葉が違う。
食べ物が違う。
移動手段が違う。
使うアプリが違う。
仕事の進め方が違う。
それを全部ストレスとして受け止めると、かなりしんどいと思います。
一方で、「こういう違いもあるのか」と面白がれる人にとっては、かなり刺激的な環境です。
学生時代にやっておくとよいこと
海外勤務に興味がある学生は、まず英語を最低限やっておくとよいと思います。
目安としては、TOEIC600点レベルは維持しておきたいです。
それに加えて、海外旅行に行っておくこともおすすめです。
まったく海外に行ったことがないと、会社側からも、
「配属先に無事たどり着けるのか」
「現地生活に適応できるのか」
といった、かなり基本的なところを心配される可能性があります。
海外旅行でよいので、海外に行き、空港からホテルまで移動し、現地の交通機関を使い、英語で注文する。
そういう経験があるだけでも、海外勤務への心理的なハードルはかなり下がると思います。
海外現場を経験して感じたゼネコンの面白さ
海外現場を経験して感じたゼネコンの面白さは、とにかく規模が大きいことです。
その国の根幹となるような公共事業に関わることになります。
目に見えてものが出来上がっていくのは楽しく、やりがいを感じやすかったです。
巨大な埋立地に、道路や配管や舗装や基礎が整備されていく。
何もなかった場所に、社会を支えるインフラができていく。
これは、土木の仕事の面白さそのものだと思います。
海外勤務を経験して、自分に足りないと感じた力
海外勤務を経験して、自分に足りないと感じたのは、技術を自分のものにする力です。
技術を自分のものにするとは、経験した工事について、次に同じような工事を担当するときに、自分で計画から施工まで自信を持ってできると言える状態になることです。
たとえば、杭打ちを経験したなら、次に杭打ち工事を担当するときに、自分で施工計画を立て、必要な機械や人員を考え、施工上の注意点を説明できる。
そこまでできて、初めて「技術が身についた」と言えるのだと思います。
私は海外勤務を通して、技術を身につけるとはそういうことなんだと初めて知りました。
これは、自分にとって大きな気づきでした。
初日に驚いたこと
初日に驚いたのは、みなさん本当に英語でコミュニケーションをしていることです。
当たり前なのですが、
「英語使ってる!」
と思いましたね
海外現場なのだから当然なんですが笑
でも、実際に目の当たりにすると新鮮でした。
日本のゼネコンで働いていても、普段は日本語で仕事をしています。
それが海外に行くと、会議も確認も雑談も英語になる。
頭ではわかっていたことですが、実際にその環境に入ると、かなり印象に残りました。
まとめ|海外勤務は「人を管理し現場を動かす仕事」
ゼネコンの海外勤務は、英語で現場作業をする仕事というより、外国人エンジニアを通して施工・原価・工程を管理する仕事でした。
日本の若手施工管理職が直接やっているような業務を、海外では外国人エンジニアに指示してやってもらいます。
その代わりに、日本人職員は、より大きな視点で現場を見ることになります。
- 工程は遅れていないか
- 原価は予算内に収まっているか
- 材料や人員に無駄はないか
- 外国人エンジニアは正しく動けているか
- 現場全体としてどう改善できるか
こうしたことを考える仕事です。
英語は必要です。
ただし、完璧な英語よりも、伝わるまで説明する忍耐力、わかるまで聞く忍耐力の方が大事だと感じました。
生活面では、会社のサポートがあるため、住居や食事で大きく困ることは少ないと思います。
一方で、環境の変化、英語での生活、長い労働時間、文化の違いなど、しんどい部分もあります。
海外勤務に向いているのは、環境の変化を少なからず楽しめる人だと思います。
海外旅行に行くのが嫌ではない。
知らない場所に行くことに抵抗がない。
わからないことを聞ける。
伝わらなくても諦めずに説明できる。
自分のメンタルを保つ趣味や習慣がある。
そういう人には、海外勤務はかなり面白い経験になると思います。
私自身、3か月という短い期間でしたが、海外現場を経験したことで、施工管理の見え方が少し変わりました。
日本の現場で何となくこなしていた業務の意味が、海外という別の環境に身を置いたことで、少し見えるようになった気がします。
就活生の方で、ゼネコンの海外勤務に興味があるなら、まずは英語を最低限勉強し、海外旅行などで海外への抵抗感を減らしておくとよいと思います。
そして会社選びでは、海外売上高や海外事業の継続性、手当や福利厚生まで、具体的に確認することをおすすめします。
海外勤務は、華やかなだけの仕事ではありません。
でも、若手のうちに大きな裁量を持ち、大規模なインフラ工事に関わり、自分の視野を広げられる経験でもあります。
ゼネコンで海外で働くってどういう感じなんだろう?
この記事が、そんな疑問を持つ就活生の参考になれば幸いです。
関連記事



コメント